今回は、お店のメニューにもある炭酸泉についてお話しします。
炭酸泉とは、「炭酸ガスが溶け込んでいるお湯もしくは水」
循環系への作用
第一に炭酸泉に入ると皮膚の血流が増加します。これは炭酸ガスの持つ最も特徴的で顕著な「血管拡張作用」によるものです。東洋西洋はもちろん、老若男女、健康・不健康、病気のあるなしを問わず、炭酸泉につかって炭酸ガスが皮膚から浸透した部分は「必ず」、血管が速やかに拡張します。
この確実な血管循環改善作用は、医療現場のさまざまな場面で応用が始まっています。動脈硬化による下肢末梢血流障害を抱える患者さんは重症になると足の切断を迫られることが少なくありませんが、それを救う成果も報告されています。
また、血管循環改善作用から、下肢静脈瘤の改善や、むくみやセルライトの改善など静脈やリンパに関係する症状も改善する可能性が大きいとみられます。
炭酸泉を行ったときに起こる、もうひとつのきわめて特徴的なからだの反応は、血圧が下がり、心拍数が少なくなるということです。このことは人工炭酸泉が自由にできるようになって動物実験によって確認されたもので交感神経を通して起こっているのではないかと考えられています。
運動嫌いにも良い?また、炭酸泉によってHSPが増加すると報告されています。病気で運動ができない人、あるいは時間が無くて運動不足になっている人が人工炭酸泉によって手軽に健康管理ができる可能性があるという意味でも価値があるとされています。
※HSP(ヒートショックプロテイン)…温熱刺激を受けることによって作り出されるたんぱく質で、それが体内の壊れたたんぱく質や組織の修復を助ける。運動によっても盛んに作られるが、適度な運動を習慣化していると体が丈夫になるのはこの修復たんぱく質のおかげかもしれないと考えられています。
冷えた足を温める効果は抜群です。ある神経難病の患者さんは終日車いすで過ごしていますが、足の甲は紫色に近い色になって冷たく、いつも分厚いソックスをはき、電気カーペットなどで保温していました。足の皮膚温度も測定できないほどでしたが、炭酸泉で足湯をすると皮膚は赤くなり、皮膚温も36.2度まで上昇しました。炭酸泉足湯後の保温効果も比較的高く、30分たっても肌の色はピンク色に近かったそうです。
炭酸ガスの生理作用が医療用に活用できるのなら、美容にも活用できるはずです。実際に使ってみると、血行がよくなり、ぽかぽかする以外に「肌がすべすべになった」ということが数回の使用で分かります。炭酸ガスは末梢血管を拡張させ、血流量を増やすことはすでに科学的に確かめられています。肌に栄養や水分を供給しているのも血液ですから、血流が良くなることで、肌はよりみずみずしくなり、しわやシミにも効果がみられると考えられます。
また、皮膚細胞は一定期間で生まれ変わって、肌のみずみずしさや若々しさを保っているわけですが、いわゆる「ターンオーバー」といわれる皮膚細胞の新陳代謝もこの炭酸ガス作用によって促進されることは十分に考えられます。特に女性はこれからの夏の季節は足を出す機会が増えますが、足のカサカサのケアにもなるはずです。
さらに、細胞の新陳代謝を活発にするということは、それだけからだが酸素を消費してエネルギーを生産するということ。うまく使えばダイエットにも効果がある可能性があります。
いずれにせよ、これらは生理作用の活性化による効果ですので「一回で劇的な効果が現れた」ということはないのでしょうが、頻繁に使用することでその効果は十分に期待できるものであると思われます。
筋肉が疲労すると代謝物質が筋肉にたまって血液循環が悪くなります。
エネルギーを使って酸素不足を起こしているのに、更に新鮮な血液の流れが悪くなり回復が遅くなります。
激しい運動の後は、じっと動かないで休んでいるよりも軽い運動をした方がかえって疲労回復に役立つことはよく知られています。これは筋肉が動くことによって血液循環が促され、代謝物質をより早く代謝させることができるからです。入浴などによって温まることはこれと同じで、疲労回復に明らかに役立つことは経験があるでしょう。確実に血管を拡大させる作用を持つ炭酸泉は、さらにその効果は高まります。
このように炭酸泉には、さまざまなメリットがあり、髪や頭皮に対してはシャンプーじゃ落ちきれない汚れを落としたり、血流促進もあるのでぜひお店でやってみて下さいね!